クック船長も日記に書いていた『船乗りの言い伝え』。珊瑚礁に船が座礁すると・・・

クリストファー・コロンブスが航海を始めた15世紀。

船乗りのあいだには、ある言い伝えがあった。
それは「サンゴ礁に船が座礁すると、そこに住む魚が毒をもつ」というものだ。

かの有名なクック船長の日記にも「普段は無毒のはずの魚をたべ、奇妙な中毒を起こす船員がいる」と書かれている。

Captain James Cook(1728-1779). Nathaniel Dance. BHC2628


普段は毒をもたない魚が、突然毒を持つようになり、それを食べた人間が中毒を起こす。

この中毒症状、熱帯の海の島々では良く知られていて「シガテラ」と呼ばれていた。
シガテラ中毒は、世界で一年に二万人以上が悩まされている世界最大の魚の中毒だが、その原因となる毒の正体はずっと不明のままであった。

 

シガテラ中毒の症状としては、下痢や吐き気の他に、温度を感じる感覚に異常がおきる。
水や金属に触ると、まるでドライアイスをさわったように、激しい痛みを感じる。

数日から数ヶ月で症状は収まるし、死ぬことはないのだが、海で漁をして生活している人々にとっては、大問題である。

 

その毒の正体を明らかにしたのが、日本の水産化学者・食品化学者である安元健氏だ。

WHO(世界保健機構)から依頼され、シガテラ中毒が多発するタヒチでシガテラ毒の研究を始めた。

 

集団中毒のおきたガンビエール諸島の海では、
大型船を通すために、海底を削る工事が行われていたのだが、削られた部分ではサンゴが死んでしまう。


そのあとに、環境の変化に強い、石灰藻が増えていくのだが、その中にシガテラ中毒を引き起こした魚が食べていた、新種の藻が大量にくっついていた。

 

安元氏はこの新種の藻に「ガンビエールディスカス」と命名。
この藻の中に、シガテラ中毒を引き起こす原因となる神経毒の一つ、シガトキシンを発見する。

このシガトキシン、60個もの炭素原子からなる、とても複雑な化合物。
フグの毒はテトロドトキシンと呼ばれ、経口摂取した場合、1~2mgが致死量と言われているが、シガトキシンの毒の強さはそのフグ毒の200倍に相当するという。

 


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