ロダン作『考える人』。元は別の作品だった。

フランスの彫刻家ロダン作「考える人」を知らない、なんて人はいないだろう。裸の男が座り込み、左ひざの上に右手をついて、そこにあごをのせている。

「下方の1点を見つめ、何か考えてこんでいる」とても印象に残る彫刻だ。
ところがこの作品、何かを考えているのではなく「一点を見つめている」だけというのが本当のところだという。

では、何を見つめているのか。

実はロダンの「考える人」は、「地獄に落ちていく罪人を、上からじっと見ているところ」を表現しているという。

もともと「考える人」という作品は、ロダンの『地獄の門」という大作の一部。

「地獄の門」は高さ六メートル、幅三メートルの門の形をしており、そこに罪人たちが落ちていく地獄絵図が描写されている。

そして、その上のほうに「考える人」の像があるのだ。
「地獄の門」はボードレールの『悪の華」という詩集や、ダンテの『神曲」といった文学作品などを参考にしており、一説では、「考える人」はその『神曲」のなかの「地獄編」で地獄を見て悩むダンテの姿だともいわれている。また、ロダン自身の姿であるという説まである。

ロダンが教え子のカミーユ·クローデルと恋に落ちたのが、この『地獄の門」の創作時期。本妻と彼女との板挟みになって悩む自分自身と、ダンテが悩んでいる姿とを重ねているとも言われている。

この「考える人」という作品名、実はこの像を鋳造したリュディエという人物が付けたものだという。

「地獄の門」一部分を取り出し、べつの名前を付けることによってまったく違った作品になった。


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