ホテルの廊下に県境。そんなホテルが実際にある。

都道府県の境界、「県境」。

通常、県境は河川や湖、山の稜線などに引かれていることが多く、なかには街中を通っているケースもある。

その場合も公有地が県境となっていることがほとんどだ。だが、ごく希に建物の中を通っていることもある。

熊本と大分の県境にある「ひぜんや」という観光ホテルがそれだ。

この観光ホテルは建物のなかに熊本県と大分県の県境がある。

「ひぜんや」のある杖立温泉の歴史は古く、1800年前に応神天皇が産湯として使った霊泉が始まりだともいわれていて、昭和の時代には「九州の奥座敷」「福岡の奥座敷」と呼ばれ、九州各地から観光客が訪れる人気温泉だった。

ちなみにこのホテルは九州出身のシンガーソングライター井上陽水さんの名曲「リバーサイドホテル」のモデル。

「ひぜんや」の画像検索結果

もともと杖立温泉は熊本と大分の県境に位置しており、「ひぜんや」は杖立川に沿って横長に建てられたことから館内に県境を抱えることになった。

県境は、「熊本館」と「大分館」と名付けられた客室棟の間を通っており、その11棟をつなぐ渡り廊下「両国橋」には大分と熊本の県境の表示が置かれている。

熊本側の熊本館に泊まった場合、食事は大分にある宴会場や食事処へ行くことになるので、大分と熊本を行ったり来たりする事になる。

それではこのホテルの住所は熊本なのか、大分なのか。

ホテル側は『杖立温泉が熊本にあることから、公には熊本県阿蘇郡小国町という住所を使用している』のだそうだ。

飲食店やホテルなど、建物の中を県境が通っているケースはこのほかにもあって、「斑尾高原リゾートロッジポラリス」は長野県飯山市と新潟県妙高市、「渋峠ホテル」は群馬県吾妻郡中之条町と長野県下高井郡山ノ内町に、それぞれ跨っている。

また、陸上自衛隊朝霞駐屯地は、東京都練馬区と埼玉県朝霞市、和光市、新座市と、県境、市境を複数跨いでいる。

この朝霞駐屯地は、「朝霞」という名前が付いてはいるが、正式な所在地は東京都練馬区になる。

観光スポットとして県境は人気になるかもしれないが面倒な事も多い。

固定資産税は宅地面積比率に応じて県ごとに納税する必要があるし、営業許可はそれぞれの県に申請が必要になる。手間が2度掛かるのだ。


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