22/09/2017
サメのすぐ生え変わる歯や、トカゲの尻尾など、生物の再生能力には驚嘆するばかりだ。
中でも淡水に棲む全長12 mくらいの扁形動物、プラナリアの再生能力は、全身に全能性の幹細胞があるため、どのように切られても再生するのだから驚きだ。
たとえば0.2 ㎜程に切り刻まれたとしても、脳を含めて再生し、1回切れば2匹に、2回切れば3匹といった具合に無限に再生するのだ。
一体この動物の再生能力はどうなっているのだろう。
プラナリアの細胞の数は、全部で約400万個あり、その中の約30 %までもが再生予備とされる新生細胞を持っている。そのため、細胞の数にして6000個程、大きさにするとわずか0.2mm程度残っていれば、元の様に再生できるのだ。
また、プラナリアのある特定の遺伝子発現を人工的に抑制すると、一つの個体につき脳が複数再生するため、脳だらけのプラナリアになってしまうという。
人間が物を見る場合、光を受容する視細胞、脳にシグナルを送る視神経をはじめ、たくさんの神経細胞が働いている。ひとつの刺激に対して、いくつもの細胞が分業しながら決められた働きをして、多彩な色の違いを見分けたり、暗くても瞳孔が開き、光を調節して多少は物を見ることが可能だ。
だが、プラナリアは光を捕らえた時、ひとつの神経細胞がこの作業のすべてを負担するため、人間の目のような精密な働きをすることはできない。
いわば、単純な生物ほど、再生するのが簡単だということになる。
プラナリアの再生能力は現在も研究がすすめられている。もし、プラナリアの持つ再生能力を人間にも利用できるとしたら、近い将来、事故などで欠損した身体の部分を再生出来る様になるのかも知れない。
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