国土を持たないのに国として認められている国

キリスト教が、アラビア半島から次第に東へと勢力を伸ばし、ローマ帝国建設の礎になり、西欧への権力拡大の武器となった。

そうしてキリスト教が東へ勢力を伸ばすのにやっきとなっている間に、聖地はイスラム勢力の手に渡ってしまう。

それを奪回するのが第一次十字軍遠征で、1099年のことだ。

このとき、遠征軍を中心として作られたのが「聖ヨハネ騎士団」。

900年を経た現在も団結を保ち続け、今は「マルタ騎士団国」12000人もの団員が世界中にいる。

この「マルタ騎士団国」、正式名称は「エルサレム、ロードス、マルタの聖ヨハネ最高騎士修道会」という。

エルサレムが再びイスラム側に奪われた1291年には撤退してキプロスへ、その後、本拠地をロードス島へ置いて国家の体裁を整えはじめる。

やがてオスマン・トルコが勢力を拡大してくると退去を余儀なくされ、移住を繰り返しながら、16世紀にマルタに落ち着く。


18世紀末、ナポレオンに敗れてマルタを追われ、やがてローマに本部を置いて現在に至っているが、その間一度も団結を崩すことがなかった。

こうした変遷が、現在の長い正式名称に反映されているのだ。

『マルタ騎士団国』は、戦う修道士として十字軍以来ローマ法王の認可の元、イスラム勢力と戦いながら、病人治療に携わる社会奉仕団体として存在し続けている。

 

国土は持たないが切手や金貨、パスポートを発行し、国連オブザーバーの資格も持っており、本部はローマ。

世界中にある200もの病院・孤児院などの施設を運営、独自の憲法を定め、国会・政府・裁判所も整っていて、50近い国家と外交使節を交換しているのだから、まさに国土を持たない独立国家である。


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